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『人材紹介の仕事がよく分かる本』小松俊明

人材紹介業の営業さんがどんなことをしているのか? という本。2009年発行の本で、人材業界の営業さん向けに勧められていたので業務を知るために購入した。 これまで人材業界の歴史と、人材業界の業界研究本を読み、さらに転職先の評判とかも読む中で、疑問に思っていたり仮説を立てていたところに対する解答になる面があって面白かった。

具体的にいうと、システム化の難度と、営業さんのノウハウ蓄積に関する問題。どう言った点のシステム化が可能なのか? という点では、なんらかの価値を生む業務と事務的な業務のうち、後者を効率化することで営業さんの時間を意味あることに使ってもらう、とかの発想がありそうだった。また、ノウハウ蓄積については、なかなか難しそうに思っていたが、この本によると業界全般の問題として若手にノウハウが溜まっていかない、というのがあるらしかった。

ただ、この本を読む中で、それって営業職ならどこでも言える話ではないか? と思って営業支援システムについて調べ始めたところ、Salesforce Japanの立ち上げをやっていた福田さんというひとの書いた『THE MODEL』という本に行き当たった。この本はアメリカでの営業職の分業化と生産管理について書かれており、かなり面白かった。そして、『THE MODEL』を読んだ後だと、この『人材紹介の〜』の古さがかなり際立ってしまった。

たとえば、『人材紹介の〜』では人材営業の数値管理に対して批判的だが、『THE MODEL』ではそうではない。数値管理への批判を読んだ際、その批判内容のフワッとした感じに心の中のひろゆきが「それって」と口を開きかけたが、実際筆者の感想だったのだろうなと思う。『人材紹介の〜』では営業職の分業については言及されておらず、またリード獲得から制約までのステージについても解像度が浅かったり、ステージの理解の中にIT環境への言及が全くといっていいほどなかったりと、この解像度だとたしかに数値管理しても良いことがないだろうな、と思ってしまう面はあった。

まあそんなところ。この本は途中で読むのをやめてしまったけど、しかし1997, 99年の規制緩和から10年経過した当時の人材紹介業務のあり方がくわしく描かれておりすごく面白かった。この量でまとまっている本もなかなかないので、大変価値ある書籍だったなとは思う。